IMOの設立に関して―あるいは,途方に暮れた自動車乗りたちへの,ささやかな贈り物について.
IMO,と書く.
アイ・エム・オー,と読む.
念のため申し添えておくと,これは「私は組織である」という実存主義的な宣言ではない.
International Motorist Organization,すなわち「国際自動車運転者組織」の頭文字をとったものだ.
我ながら,ずいぶんと大きく出たものだと思う.
「国際」などという言葉を社名に冠した瞬間,人はどこかで引き返せなくなるものである.
さて.
自動車というものについて,少し考えてみてほしい.
人はなぜ,あれほど高価なものを買い,あれほど複雑なものを所有し,そしてあれほど頻繁に途方に暮れるのだろうか.
ディーラーへ行けば「部品の入荷に三週間かかります」と言われ,町の修理屋へ行けば首をひねったまま黙り込まれ,インターネットで調べれば玉石混淆の情報が怒涛のように押し寄せてくる.
そういう経験を,みなさんも一度や二度はお持ちのことと思う.
要するに,頼れる人間が少なすぎるのだ.
IMOはそこに存在したいと思っている.レストア,新型車のコンサルティング,あるいは研究所のような機能.
肩書きをひとつに絞ることが難しいのは,我々が「便利屋」を目指しているからではなく,自動車というものが本来それだけ多面的な存在だからだ,と言い訳しておこう.
ところで2026年の日本の自動車整備業界というのは,これがなかなか洒落にならない状況にある.
技術者は減り,知識は次の世代へ伝わらず,自動車だけがどんどん賢くなっていく.皮肉なものだ.
整備する人間よりも,整備される自動車の方が頭がいい,などという時代が来るとは,さすがに誰も予想していなかったのではないか.
その状況を当事者として日々,痛感している.
我々がその状況をひっくり返せるなどとは,さすがに思っていない.
しかし,持っているものは出し惜しみせず共有したい.
それで業界が少しでも元気になれば,得をするのは結局,自動車に乗るすべての人間だ.
実を言えば,日々お付き合いしているのは自動車小売業者や自動車メーカーの方々がほとんどで,一般のモータリストと膝を突き合わせる機会はそう多くない.だからこそ,このホームページを作った.
我々が何を考え,何をやっているのか.
それを知ってもらう場所が,どうしても必要だったのだ.
難しいことは何も書いていない.
暇なとき,コーヒーでも飲みながら,たまにのぞいてみてほしい.
もしかしたら,あなたの自動車生活が少しだけ豊かになるかもしれない.
少しだけ,だが.
2026年6月